リンさんの旭川滞在日記10

日本の「お中元」という時期は、台湾にもあります。台湾では、陰暦の7月15日が「中元節」となります。日本のようにお世話になった人々に何かを贈答するのではなく、あくまでも亡くなった人や、さ迷う霊のための行事で、実際は、その一ヶ月の間、さまざまな習わしがあります。
7月1日から、地獄の門が開かれ、もう一度、人間に生まれ変わるために、霊達が人間の世に来て、自分の代わりになってくれる人々を探します。ちょうど暑い夏だけれど親たちは、決して子供達を海にはいかせません。入院している患者さんは家に帰って、なるべく手術などは避けます。そして、乗り物には普段より慎重になります。
7月15日は、「中元節」です。行事は、普通2日間続きます。町中にテ-ブルの長い列ができ、その上に様々なお供え物が並べられて、お線香の匂いと煙が、霊達を誘うかのように溢れます。列の一番先頭には高く作った台の上で和尚さんが何時間もお経を唱え、皆に聞こえるようにスピ-カ-の音量を最大に上げます。死者に関係する行事だけど、不釣合いなほど皆が明るく賑やかに振る舞います。この時期の台湾は、真夏日が続くので、これらの行事は、夕方から始まるのが普通です。
7月30日、地獄の門が閉まります。この一ヶ月に成功しなかった霊達が、とうとう地獄に戻らなきゃならない時がやってきました。これで天下太平です。皆の生活がまた元に戻って、親からの水遊びの禁止令が少し緩められ、病院にも患者さんが戻ってきます。
陰暦の7月は、実に不思議な月です。「陽世」と「陰間」(人間の世界と死者の世界)の境界線が、はっきりしないトワイライト・ゾ-ンです。









